『はるか』は1994年に開業の関西国際空港と、新大阪・京都を結ぶ空港アクセス用として JR西日本が投入した281系直流特急形電車です。京都−関西空港間を約72分でむすび、 一日30往復運転されており、これは在来線の特急列車の中では「リレーつばめ」に次いで 多い本数です。一部の『はるか』は米原まで足を伸ばしています。 車体カラーは白(雲)をベースに、青いライン(成層圏)、運転席周り、屋根のグレー(宇宙)と、 『空』をイメージしたカラーリングで、大形連続窓や、先頭車側面の「はるか」のロゴマーク、 そして、あまり見る機会が少ないかもしれませんが、屋根上の大きな「JR」マークが特徴です。 先頭車前面には、近い将来(?)の地下区間の走行を想定して非常用の貫通路が設置 されています。基本編成の先頭車以外は乗降口が2ヶ所設置され、大きな荷物を持つ乗客の 為に出入口が従来の特急形車両とくらべて広めで、デッキには荷物置き場があります。 クハ281の運転席の後ろは、CAT(シティエアターミナル。駅で飛行機のチェックインが できるやつ。現在は廃止。)用荷物室になっていて、座席定員が少なめになっています。座席は 回転リクライニングシート、照明は電球色蛍光灯で落ち着きのある雰囲気を出しています。 |
開業当初は5両編成(基本編成)でしたが、利用客増加で輸送力が不足気味になってきた為、 翌年から中間付随車(サハ281-100番代)が増備され、現在では6両編成(基本編成)で 運転しています。6両のうち、2・5号車が電動車の2M4T編成で、MT比率1:2は、 他のJR西日本の特急形車両と同様に採用されています。VVVFインバーター制御で、 出力180kWのモーターを個別に制御しています。サンダーバードなどの681系で 採用されているMTユニットではなく1M方式を採用、電動車に補助電源装置などを集中、 電動車の重量を重くして粘着性能を稼ぎ、加速力を良くしています。 運転開始当初は全車指定席でしたが、後に自由席が設定されました。自由席は、京都発が 5・6号車の2両、関西空港発が4〜6号車の3両と、上りと下りで両数が違います。 飛行機の到着時刻が遅れたりする事があり、関西空港発の指定席の予約が少ないためです。 |
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屋根上の「JR」ロゴマーク。 車両に描かれた「JR」ロゴのなかで 一番大きなロゴではないでしょうか。 関西空港に離着陸する 飛行機の中から見えるのでしょうか。 |
車体側面の「はるか」ロゴマーク。 五重塔と遠くに見える富士山で (実際には見えませんが) 外国からの乗客にアピール。 |
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『はるか』は、京都−関西空港間99.5キロ(営業キロ)、所要時間約72分と、他の特急列車と
比べて非常に短距離なのですが、
京都から東海道本線−梅田貨物線−大阪環状線−関西本線−阪和線−関西空港線と、
短時間に多くの路線を渡って走行します。関西本線と阪和線の渡り線は1989年に、「くろしお」・「スーパーくろしお」等の
紀勢線直通列車が新大阪・京都に直接乗り入れる為に設置されたコースで、『はるか』も同様のコースを通ります。 さらに『はるか』は、時刻表を見ると、京都−新大阪間の所要時間が上り(約23分)、下り(約28分)と違います。 上りの『はるか』が本線を走行するのに対し、下りの『はるか』は京都を発車後、向日町まで貨物線を走行、梅小路駅付近での ポイント制限などによりスピードを出せない為で、他の旅客列車と比べてかなり特異なルートを走行します。 次のページではそんな変わったルートを走行する『はるか』を京都から関西空港まで紹介します。ページを ご覧の皆様も『はるか』に乗った気分でご覧下さいませ。お手元に 地図等があれば、ご一緒にご覧頂くとより効果的です。 |