北海道 「羊をめぐる冒険」体験ツアー





 "十二滝町をめぐる検証"でも書いたように、美深町の仁宇布は「十二滝町」に最も条件が合う町です。ここでは羽田空港を起点とした仁宇布の観光コースを紹介します。

(1)値段的には全日空スカイホリデーのリゾートプランが格安です。これは羽田〜旭川空港間の往復の飛行機代とホテル代(道内に散在している数十の提携ホテルから選択できる)とレンタカー代を全て含めた二泊三日分のパックです。「羊をめぐる冒険」で主人公が十二滝町に滞在する9月〜10月では3万円台で組むことも可能です(本来の羽田〜旭川間の片道の運賃が2万円以上であることを考えると、いかに安いかが分かるでしょう)。
 私の場合は、一日目に美瑛・富良野(こんなものも見られる)を廻り、二日目は提携ホテルをキャンセルして仁宇布のファームイン・トントに宿泊しました。
*ホテルを一泊キャンセルしたとしても、他のパックよりはるかに安いです。

(2)レンタカーを借りない方法もあります。この場合、AIR DO 社(道民以外にはあまり知られていない)の9000円の運賃で往復し、ファームイン・トントに二泊程度泊まるのをお薦めします(もちろん、二泊以上の滞在も良いと思います。実際、一週間ほど滞在する方も時々いらっしゃるようです)。旭川空港で飛行機を降りたらバスでJR旭川駅まで向かい、旭川駅からは"僕"と"キキ"と同じように、宗谷本線で美深駅まで北上します。美深駅からはバスを使って仁宇布まで行くことができます。

 仁宇布の観光ですが、トロッコ王国(HP)という非常にユニークな企画があります。これは美幸線の廃線跡に残された線路にゴーカートのようなアクセル&ブレーキ式のトロッコを走らせ、往復で十キロ(仁宇布駅より西へ五キロ地点まで)もの長距離を自走できるというものです。廃線跡の線路を使ったこのような企画は全国でここだけであり、千円で40分ものコースを堪能できるということもあり、年間に一万人超の利用客がある人気の企画となっているようです。是非、チャレンジしてみることをオススメします。

 また、仁宇布には松山湿原という国の保護下にある貴重な湿原もあります。約30分で登山口より900メートルの山道を登ると、山頂には広大な湿原が広がっています。風の影響で不自然な形をした松が草の間から頭だけ出したように点在しているのですが、その奇妙な風景はまさに異教的といった雰囲気です。木で作られた道の上を歩いて、湿原を一周することも可能です。また、登山道の途中からは仁宇布の平野部を見下ろすこともできます。入山が可能なのは、6月の第4土曜日〜10月いっぱいとのことです。

 他にもペンケニウプ川にはヤマメやニジマスが生息しており、渓流釣り好きにはたまらないポイントです。また、松山農場さんで乳搾りを体験させてもらったり、"Location解説"で紹介した原生林や白樺に囲まれた草原に連れていって頂いたりというのはどうでしょう?

 仁宇布で唯一の宿泊施設であるファームイン・トント(これも松山農場さんの経営です)は、鼠の別荘さながらに、仁宇布駅から少々離れた広い草原(山の上ではありませんが)の北の果てにポツンとあります。夜になると周囲には明かり一つ見えません。もちろん満天の星を望むことができます。
 ここで出される夕食がまさに絶品です!骨付きラムやジンギスカンは全く臭みを感じさせず、脂ののった羊肉の旨さといったら他のどの肉とも異なる極上の味です。最初は「羊は獣臭くて好きじゃないので食べられない」と旅行前に言っていた妻も、あっという間に平らげてしまいました(オーナー曰く、世で一般に出されている羊の肉はヤギの肉であることが多く、かなり臭いが強いものらしいです)。他にも羊のミルクで作ったアイスクリーム(羊のミルクで乳製品を加工しているのは、日本では松山農場さんだけとのこと。ヤギは他でもあるらしいです。)や白樺の樹液から作ったシロップをかけたヨーグルトなど、とにかくここでしか食すことのできない究極の美味にありつくことができます。羊のソフトクリームは一度食べたら病みつきになってしまうことでしょう。私は北海道で、ここを超える料理にはまだ巡り会ったことがないです。
 このファームイン・トントは松山農場さんのオーナーと奥さんで経営されているのですが、お二人とも非常に気さくでお話好きな方で、私と妻はとても楽しいひとときを過ごすことができました。オーナーの奥さまは村上春樹のファンということもあり、色々な村上春樹ネタで盛り上がりました(笑)。
 夜も遅くなるとオーナーさん夫妻は仁宇布の家の方に帰ってしまうため、広い家に一人(or 二人?)残された宿泊客は鼠の別荘で独り過ごす"僕"のごとく、静けさの中で「羊をめぐる冒険」の世界にどっぷりと浸れることでしょう。私が贈らせていただいたジャズのCDも村上春樹的な夜を演出します(笑)。作中のように長期滞在したくなる可能性大です。
 この地区では雪が根雪となるのは11月中旬あたりから4月いっぱいまでになるそうです。この時期を外すのも良いのですが、根雪のシーズンに訪れるのも北海道を堪能できること受け合いですので、チャレンジしてみてもよいでしょう。極寒の北海道の冬に、オーナーご夫妻が暖かく迎え入れてくださることでしょう。


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