"「羊をめぐる冒険」の風景" 〜Location 解説〜




<ICUのキャンパス>

 この場面に関しては、作中に「ICU」の「キャンパスの芝生」と明記してあります。ICU(国際基督教大学)は武蔵野の閑静な場所に位置しており、広大なキャンパスには自然が十分に残されています。隣には雑木林の広がる野川公園(作品にも登場)があります。大学のHPにあるマップからも分かるように、ICUのキャンパスには中央に広い芝生があり、昼休みには学生達がそこで思い思いの時間を過ごします。私が訪れた日は天気も良かったので、バドミントンをしたり輪になって談笑したりしている学生グループがいました。学生時代というのは、そこに身を置いていた時には特に気付きませんでしたが、卒業してから思い返してみると素晴らしく充実していた時間だったな、と感じるものですよね。キャンパスの芝生に妻と二人で座りながらぼーっと彼らを眺めていると、かつて学生だった頃の色々な出来事が懐かしく思い出されました。

「キャンパスにある教会」



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<ICUのキャンパス・ラウンジ>

 作品には、「ラウンジ」が出てきます。ICUのキャンパスで「ラウンジ」と表記されているのは一ケ所のみで、それは"ディッフェンドルファー記念館"の一階にあります。「僕」は「ラウンジ」で「ホットドッグ」を食べ「コーヒー」を飲むのですが、このラウンジにある売店ではちゃんと「ホットドッグ」と「コーヒー」を売っています。しかも、この「ホットドッグ」、ボリュームもあり、パンの味も良かったです。是非このICU名物(ハルキスト限定?)のホットドッグにトライしてみてください。
 残念ながら、「ラウンジのテレビ」は確認できませんでした。



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<新幹線車内>

 これは作中に「新幹線」とはっきり書かれているので、東京から新神戸へ向かう新幹線の車内にて撮影しました。



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<川沿いの道>

 ここで出てくる「川」のほとりには「三代めのジェイズ・バー」があります。そこでこの「川」が何川かを決定するためには、同時に「三代めのジェイズ・バー」の在処を特定しなければなりません。

 ジェイズ・バーの場所に関する記述は、三部作三作目の「羊をめぐる冒険」になって始めて登場します。その要点をまとめると次のようになります。

●「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」に登場する「二代めのジェイズ・バー」は「国道わきの古ぼけたビルの地下」にあった。

●「羊をめぐる冒険」に登場する「三代めのジェイズ・バー」は「昔(二代め)のビルから五百メートルほど離れた川のほとり」にあり、西側と南側にある窓からは「かつて海であった場所」が見渡せる(海は「何年か前」に埋め立てられている)。

●海が埋め立てられたため、川は「半分埋められた運河のような海」に注いでおり、そこには「五十メートルぶんだけ残されたなつかしい海岸線」がある。

●川を離れ、「かつての海岸道路」に沿って東に歩くと、海を失った「古い防波堤」が残っている。

●その防波堤付近には「広い公園」や「立派な集会場」がある。


 結論から言ってしまうと、芦屋市潮見町の埋め立て地はこれら全ての条件を満たしています。右図の青のライン(細)が実際にある古い防波堤です。即ち、それより南側は海が埋め立てられてできた土地です。海岸線が五十メートルぶんだけ残されているのが分かります。また、この防波堤付近には右図に示したように「広い公園」や「立派な集会場」があります。即ち、「三代めのジェイズ・バー」は芦屋川のほとりにあることが示されました。

 ちなみに、そのジェイズ・バーの詳しい在処ですが、二代目は国道のわきにあり、三代目は二代目から五百メートルほど離れた川(=芦屋川)のほとりにあるとの記述は先に紹介しました。
 国道から五百メートルのラインに青い線(太)を引くと図のようになります。川のほとりであることを考え合わせると、ジェイズ・バーの在処はかなり限定されます。さらに"僕"がジェイズ・バーを出て、芦屋川に沿って海に向かうとそこには「五十メートルぶんだけ残されたなつかしい海岸線」があることから、恐らく三代目のジェイズ・バーは芦屋川の東側(=芦屋市松浜町)である可能性が高いと思われます。

 以上より、この「川沿いの道」のシーンでは芦屋川を撮影しました。まさに「ところどころに流砂どめの滝」があり、「川が川床に吸い込まれていくポイント」もあります(この川は非常に枯れやすいのです)。



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<五十メートルの海岸線>

 先に述べたように、「五十メートルぶんだけ残されたなつかしい海岸線」は芦屋川河口になります。実際に訪れてみると、まさに記述の通りの場所です。これはラストシーンでも再度出てくる、印象的な場所です。私ははじめて訪れたにも関わらずノスタルジックな気分になれました。とても不可思議な体験でした。是非、訪れてみてください。ハルキストにとっては聖地とも言うべき場所です♪

「河口より芦屋川を望む」



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<古い防波堤>

 先にも述べたように、作品通りに五十メートルの海岸線から東へ歩くと、そこには「海を失った防波堤」が「父親の帰りを待ちわびている未成熟な子供たちのように」残されています。私の中では防波堤より海側の方が土地が低くなっているイメージだったのですが、実際に訪れてみるとその逆で、山側の方が低くなっていました。防波堤の北と南で土地の高さが大きく変わっていて、とても奇妙な光景でした。現在ではこの防波堤にはペンキアートが施されており、作品にあるような落書きは見られませんでした。ちなみにこの防波堤は短編の「五月の海岸線」にも登場します。



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<神戸の街>

 "僕"は鼠の昔の恋人に会うために、ホテルのコーヒー・ハウスで待ち合わせます。このホテルのモデルとなっているのは神戸オリエンタルホテルなのですが、三宮駅前にあったこのホテルは震災で倒壊してしまいました。「辺境・近境」にもそのへんのことが少し書かれています。私は代わりに新神戸オリエンタルホテルにあるコーヒー・ハウスの"スカイラウンジ・エステレーラ"(35階)から見える風景を撮影しました。



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<コーヒー・ハウス>

 作品の中では、このコーヒー・ハウスには「マリン・ブルーに塗られたグランド・ピアノ」があるとの記述があります。新神戸オリエンタルホテルのコーヒー・ハウス"スカイラウンジ・エステレーラ"にもちゃんとグランド・ピアノがありました。色は黒でしたが。
 ちなみに新神戸オリエンタルホテルでピアノが置いてあるのは、この店だけとのことです。それにしても、マリン・ブルーのグランド・ピアノってどんなのでしょうね?



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<飛行機の機内>

 これは作品と同様に、東京から北海道へ向かう飛行機の機内にて撮影しました。



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<十二滝町をめぐる検証>

 ここでは別ページにて、十二滝町の所在を徹底検証します。






<宗谷本線の車内>

 上の<十二滝町をめぐる検証>で書いたように、"僕"とキキは宗谷本線で旭川より北上します。
 この路線を走る車両は、北海道では一般的なディーゼル車です。私は車で撮影旅行をしていたので、ここの撮影は大変でした。駅で妻を電車に乗せ、私は車で次の駅まで先回りという手順で行いました。妻に撮影を一任したわけです。かなり不安でしたが(笑)、それなりに満足のゆく写真を撮ってくれたので、一回のトライで済ませることができました。
 余談ですが、妻が言うには車内の三人がけのシートが四つとも靴を脱いでベッドのようにして横になっている老婆に占拠されていたそうです。これって北海道では一般的な光景なのでしょうか……?



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<中継地点の駅>

 "僕"は「小規模の地方都市」で列車を乗り換え、東に進路を変えます。この「小規模の地方都市」に関しては<十二滝町をめぐる検証>でも書きましたように、"美深"が最も条件を満たしています。美幸線の"美"は美深の"美"なわけです。作中の記述通りに「線路沿いに煉瓦造りの古い倉庫が幾つも並び」、「花壇のマリゴールド」もあり、「プラットフォームから見える街は典型的な小規模の地方都市」です。
 作品にも出てくる駅の待合室です。「壁には何枚かの観光地のポスターと指名手配のリストが貼られていた」とありますが、まさにその記述通りのボードがあります。それにしても指名手配と自衛官募集のポスターはこういう街にピッタリですよね。

「美深駅」



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<線路に沿った川>

 作中には十二滝町へ至る電車の車窓からの眺めに関して、「窓の外には川が続いていた」「川に沿って舗装道路が見えかくれしていた」の記述があります。かつて美幸線はまさにペンケニウプ川と道道49号線に沿って走っていました。廃線になった後も線路だけは残されており、当時の面影を偲ばせています。この美深線は全国的にも有名だった赤字路線でして、今でも鉄道好きの方が多く訪れるそうです。昨今の廃虚ブームも手伝ってか、隠れた人気スポットとなっています。特に最近になってこの配線を整備して観光用にトロッコを走らせるようになってからは鉄道マニア以外の方も大勢訪れるようになっていて、年間一万人以上の方が乗りにくるそうです。確かに廃線跡の線路にトロッコを走らせた例など全国的にここだけであるため、注目を集めるのも頷けます。1000円で40分(往復で10キロ)も走れるのはかなり魅力的でしょう。トロッコもゴーカートのようにアクセル&ブレーキで動かせるタイプであり、運転する楽しみも味わえます。川に沿ってトロッコを走らせていると、滝が見えてきたりと眺めも素晴らしいです。"僕"になった気分で、美幸線廃線跡を自走してみるのもよいでしょう。

「ペンケニウプ川」

「廃線後も残されている線路」

「線路は仁宇布へと続く」



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<十二滝町の駅>

 美幸線の終着駅である仁宇布駅です。駅前には美幸線に関するモニュメントがあります。廃線後の現在は駅前もひっそりとした雰囲気となっています。線路は仁宇布駅の近くで終わっていますが、その先も整備がすすめられており、橋やトンネルが今でも部分的に残されています。ここでしか見ることのできないとても不思議な光景です。

「終着駅・仁宇布」

「現在の駅前の通り」



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<羊の牧舎>

 これは仁宇布にある松山農場さんの牧舎にて撮影させていただきました。松山農場さんは仁宇布にある唯一の農場であり、羊のみを扱っています。羊好きの方が搾乳などの体験をしに何泊かいらっしゃることもあるそうです。確かにここで扱っている羊はサフォークよりも可愛いタイプです。サフォークは顔が黒くてなんとなく触ると手が黒くなりそうなのですが、松山農場さんの羊は顔が白くて清潔そうです(笑)。私と妻は、まだ生まれて間も無い小羊に哺乳瓶でミルクをあげさせてもらったりしました。可愛かったですよ〜!



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<羊>

 これも同じ牧舎にて撮影しました。



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<原生林>

 作品の中で"僕"とキキは「緬羊管理人の古いジープ」に乗り、山道を鼠の別荘に向かいます。その道に関しては次の記述があります。
 「絶壁のようにそそりたつ暗い原生林が道の両側を支配する」
 仁宇布には"仁宇布原生保存林"があります。私は松山農場さんのオーナーのジープに乗せてもらい、原生林の中を車で案内していただきました。車中より見える風景は、まさに作中の記述のようでした。



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<白樺に囲まれた草原>

 作中の記述によると、鼠の別荘は山中の白樺の樹海に囲まれた草原にあります。
 仁宇布には、先の牧舎からは少し離れたところに白樺に囲まれた草原があります。さらにこの草原の北の果てに、鼠の別荘のごとく一つのログハウスが!これは松山農場さんの所有するファームイン・トントという仁宇布で唯一の宿泊施設なのです。周囲には民家も全く無く、この建物から見渡せるのは広い草原のみです。山中にあるわけではありませんが、まさに鼠の別荘さながらでした。



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<暖炉>

 作中では、"僕"は鼠のギターを「暖炉の煉瓦に叩きつけ」ます。ファームイン・トントの一階は食堂用のスペースになっているのですが、そこには「暖炉の煉瓦」もちゃんとあります。私はその暖炉を撮影しました。
 このスペースでオーナーの手製の料理をいただいたのですが、とにかく素晴らしかったです。その体験記はトップページの"北海道 「羊をめぐる冒険」体験ツアー"の方にまとめて綴ってあります。是非御覧になってください♪



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<暗闇>

 またまた真っ暗やみです。使いまわし(?)です(笑)。
 ちなみに夜になるとファームイン・トントから外を見渡しても全く明かりが見えません。建物の明かりを消して空を見上げると、そこには天の川が。星が降ってくるような感覚を味わうことができます。



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<ジェイズ・バー>

 この説明に関しては、"「風の歌を聴け」の風景・Location解説"を御覧になってください。



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<五十メートルの海岸線>

 これは先に書いた場所にて、昼間撮影したものです。



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【北海道 「羊をめぐる冒険」体験ツアー】