プリクラ
「跡部くん、ボク死んでも良いデス。」
あの日は、珍しくお互い部活がお休みで、
(イヤ、ボクはサボりました。)
(だって、こんなチャンスめったにないもんっ!!)
ボクは、跡部くんを学校まで迎えに行った。
「帰れ、バカ千石。」
なんて言われたけど、なんとかデートにこぎつけたのです。
(六時間目をサボってまで行ったかいがありました。)
(後で南に怒られたけど、それは仕方ないよね。)
とても雰囲気の良いお店を見つけたので、
渋谷に彼を連れて行った。
人ゴミの嫌いな彼だけど、そのお店は中心地から離れていて、
とても落ち着いているから、気に入ってもらえる自信があった。
「いかがでございましょうか?」
「まあまあ。」
「お褒めいただき、光栄です。」
うやうやしく、頭を下げる。
片方の口角を上げて笑う姿も色っぽくて、惚れ直しちゃう。
ボクの好きな顔の一つ。
「普段はどこで買い物するの?」
「ほとんど行かねぇけど、銀座。」
「じゃあ、今日は渋谷を楽しもうね!!」
人差し指をかけ、ティーカップを口へと運ぶ。
彼の意思で、彼に望まれて口元へ触れることが許された、
そのカップに嫉妬してしまいそうだった。
アクセサリーを見たり、CDショップに行ったり、服を見たり。
逆ナンは笑顔でかわして、ボクはすっごく楽しかった。
跡部くんと一緒に居られる事、
跡部くんが隣りに居てくれる事、
跡部くんを今、独占している事。
どうか、幸せを感じているのが、ボクだけではありませんように。
「ずいぶん、ご機嫌だな。」
「当然でしょ。だって今、すごい幸せだもん。」
彼のキゲンが悪くない事を知って、一つワガママを言ってみる事にした。
「あっとべくーん。プリクラとろー?」
彼は初めての経験だったみたいで、
ボクのキゲンもテンションも、更に上昇。
「跡部くんの“初めて”又、一つもらっちゃった
」
なんて言って、ゲンゴツをもらったりした。
(かなり痛かった!!)
撮ったプリクラの半分を彼に渡して、
自分のを一枚剥がし、携帯に貼った。
「跡部くんも貼ってね!」
「ぜってぇ、ヤダ。」
「なんで?」
「ヤなもんは、ヤなんだよ。」
「なんで、なんで?誰かに見られるから?
別に良いじゃん。ラブラブなのみせびらかそうよぉ!!」
「するかよ。」
「えーっ。じゃあさ、ココに貼って?」
「はぁ?」
彼の携帯の電池を外した。
「ココなら誰にも見られないでしょ?」
「・・・・・・・・・。」
「ねっ。お願い」
「・・・・・・断る。」
「えー、お願いっ!!」
結局、最後まで首を縦には振ってくれなかった。
(すっごいお願いしたけど、ダメだった。)
(“上目遣いでお願い攻撃”の成功率、どんどん下がってく・・・。)
いつものように景吾邸を訪れた数日後、思いがけない幸せに遭遇した。
相手は、同じテニス部の誰かだろうか。
さっきから、ずっと電話で話してる。
彼の為に淹れた紅茶は、きっともう冷めてる。
この部屋には二人だけなのに、
今、アナタのココロにある人がオレじゃないなんて。
こんな時にも、独占欲が沸いてしまうオレは嫌いですか?
「あっ。」
電話が終わった彼の手から、携帯が滑り落ちた。
床に落ちた携帯は、本体と電池が外れてしまっていた。
拾おうと携帯に手を伸ばす。
「触るなっ!!」
「えっ?」
伸ばした手は、すでに携帯を拾い上げていた。
「見るなっ。返せっ!!」
なんだか焦っているような彼が、携帯を奪おうと手を伸ばしてくる。
その手をかわして、視線を携帯へと落とす。
「あっ。うそぉ・・・。」
「チッ。」
照れ隠しなのか、舌打ちをする彼。
「跡部くん、ボク死んでも良いデス。」
電池が外れた所には、この前一緒に撮ったプリクラが貼ってあった。
「跡部くん、大好きぃーっ!!」
そう言って、勢いよく抱き付いたら、
「オレは嫌いだっ。」
なんて言われたけど、そんなの全然気にならなくて、
背中に回した腕に力を込めた。
03.5.18
難産でした。
「跡部様のプリクラ帳」のりくりさんに押し付けたお話。
書かせて下さい。と言ってから随分経ってしまいました。
ごめんなさい。
内容もなんだか、ごめんなさい。
これを書いてる時、「私って、文章書きじゃないのかも!?」なんて思ってました。
こんなのでも、もらってくださると嬉しいです。
跡部さんは優しい子です(笑)。
やっぱりバカップルなうちの二人です。
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